いわゆるポイズンピル(毒薬条項)に関する原則的な課税関係について

 

現在国会で審議中の会社法案には、各種の敵対的買収防衛策に応用できる様々な改正が盛り込まれているが、そのひとつに敵対的買収時に新株予約権を発行する(ライツプラン)いわゆるポインズンビル(毒薬条項)がある。国税庁は27日、ポイズンビルとしてのライツプランについて、経済産業省から示された3つの類型を前提に、現時点での原則的な課税関係の考え方を明らかにした。

 まず、買収を事前に表明して買収者が登場、交渉決裂した際に新株予約権を発行する事前警告型ライツプランでは、新株予約権の付与(無償・譲渡制限)時には付与を受けた法人株主に対し新株予約権の時価相当額の受贈益が発生する。個人株主は、権利を行使し株式を交付された時点で、株式の時価と権利行使価額(新株予約権を行使した際の払込金額)との差額に課税される。

 次に、前もって信託銀行と信託契約を結び新株予約権を発行(信託・譲渡制限)を委託する信託型ライツプラン(直接型)では、買収者の登場、交渉決裂時にすべての株主に新株予約権(譲渡制限)が付与されるが、課税関係は、事前警告型と同様に、法人は付与時に受贈益が生じ、個人株主は権利行使・株式交付時に課税されることになる。

 3番目の類型は、SPC(特定目的会社)を設立して新株予約権を発行(無償・譲渡制限)し、新株予約権の管理を信託銀行に委託する信託型ライツプラン(SPC型)である。この場合、SPCに新株予約権を付与時に原則として新株予約権の時価相当額の受贈益が生ずるが、契約条件により課税されない場合がある。例えば、新株予約権の時価算定にあたり、SPCが新株予約権を他の第三者に譲渡することが実質的にできない契約があるなどの価格マイナス要因などにより、結果として、付与時点での時価が限りなくゼロに近くなる場合がありうる。

 そして、買収者が登場し交渉が決裂した場合にSPCから信託銀行を介してすべての株主に新株予約権が譲渡されるが、この時点では契約条件によりSPCに寄附金課税は生じない。それは、付与時点の時価と譲渡時点の時価との差額が譲渡益と認識されるとともに、譲渡時点の時価が費用・損失と認識されることから、結果として、付与時点の受贈益に見合う費用・損失が生じるからだ。

 また、譲渡を受けた時点で、法人株主は新株予約権の時価相当額の受贈益が、個人株主は同じく経済的利益がそれぞれ生じることになる。権利行使・株式交付時点では、法人株主、個人株主ともに課税関係は生じない。


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中島祥貴税理士事務所

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